はじめに
みなさんは塾や予備校に通っている、あるいは通ったことはありますか?
日本では学習塾、予備校に通うことは当たり前ですが、海外の方と話をしていると実はそれは当たり前ではないということに気づかされます。
「何の仕事してるの?」と聞かれて、
「塾をやってるよ!」って答えても、国によっては”塾”というもの自体が存在しない場合もあるので、「学生が受験合格準備のために放課後に通う私立のschoolだよ」と、いちいち説明しないと伝わらないことがしょっちゅう。
さらには「え、何それ!?自学自習じゃダメなの?」「日本人はわざわざお金払ってまで通ってるの?」みたいなことを言われることも多々あり、私も苦笑い汗
スタディサプリやYouTubeのように無料や安価で全国トップクラスのカリスマ予備校講師の授業がいつでも見れる時代。
にもかかわらず、なぜ多くの人が塾に通うのでしょうか?
教えてもらうために塾に通う?
多くの方が、「授業を受けるため」、「教えてもらうため」に塾に通ってるのではないでしょうか?
一見、当たり前のことのように聞こえますが、本当の目的はそうじゃないですよね?
「学力向上」や「志望校合格」あるいはその過程を通して「努力」や「やりぬく力」を育てるために通っているのではないでしょうか?
お父さんお母さんは塾での我が子の様子を知らない
塾というのはなかなか変わった商売でして、サービスを受けるのは「子ども」。でもお金を払うのは「親」。
しかし、お金を払う側の親にとっては塾での我が子の様子はほとんど見えません。
授業中、真剣な眼差しでノートを取っているのかもしれないし、あるいはあくびをしながら黒板を写しているだけなのかもしれません。自習室にいって集中して問題を解き進めているのか、机に突っ伏して寝ているだけなのかも分かりません。
分かるとすれば成績表や模試の結果。あるいは塾での面談を通して言われる教室長さんのアドバイスのみ。でも成績が伸びていたとして、それがその塾のおかげで伸びているのかその子がデキる子だっただけなのか。伸びていなかったとして他の塾ならもっと伸びていたのか、あるいはもっと下がっていたのか。
一生のうちでおそらく一度きりの大学受験にも関わらず、その塾の良し悪しはなかなか分かりづらいものです。
実際、授業受けて成績伸びてます?
実際に、みなさん学校や塾の授業の様子を思い浮かべていただきたいのですが、どうでしたか?
60分の授業時間の中で集中して聞いていた時間ってどれくらいありましたか?
周りを見渡したときに何人くらいが真剣に話を聞いていましたか?
私が受験生のときも塾に通っていましたし、塾の運営サイドとして授業の様子もみてきましたが皆さまお察しの通り「真剣なやつもいれば、ぼーっとしてるやつもいる」というのが実際のところ。
そして仮に真剣に授業を受けていたとして、その中で成績が伸びている人がどれくらいいるでしょうか?
教えれば教えるほど考えなくなる病
私はこれまで多くの生徒を教えてきました。
ほとんど手をかけずにめちゃくちゃ伸びる生徒もいれば、
べったり張り付いてあれこれ教えてあげても伸びない生徒もいました。
そこで感じたことは、人は「教えれば教えるほど自分の頭で考えなくなる」ということです。
授業中には先生が「ポイントはこれとこれ!ここよくテストで出るから覚えて!来週までの宿題はここまで!次回はこの単元やるから予習しておくように!」というようにあれこれ教え、宿題をやったかどうか管理し、やっていない子がいれば叱り飛ばして時には居残りをさせる。
こういうやり方でやっても結論伸びません。
逆に手をかければかけるほど、人や環境に依存し、何かうまくいかないことがあると誰かのせいにしはじめていきます。
教えない塾とは?
「教えない塾」というと、どこか「放ったらかし」で「先生は質問しても教えてくれない」というようなイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、私が目指すのはそういうものではありません。
かつての予備校のように(今でもありますがw)一斉形式で分かりやすい講義を行うのではなく、一人ひとりに寄り添い、問いかけ、自分の頭で考えさせる塾です。
具体的には、コーチングとアプリなどのテクノロジーを駆使して、一人一人に最適な目標とプランを決めていき、毎回の振り返りを通じて自分で改善し修正していけるような塾です。インプットの部分は市販の教材や映像授業サービスで十分です。
「目標や目的は何なのか?」「どうすればいいのか?」「どう感じたか?」
最初はそういった問いかけに対してうまく答えることができなくても徐々に自分なりの答えが出てくるようになります。
教えない塾は大学入試に通用するのか?
いくら教えない塾で自立して、主体的に学ぶ習慣がついたとして、肝心な学力は伸びるのか?大学受験で通用するのか?
もしこのやり方で大学受験に通用しないのであればただの理想論にすぎません。
しかし、皆さんご存知のように今大学入試は大きく変わろうとしています。われわれ塾や学校もこれからの大学入試の変化にも対応しなければなりません。
今までは言われた通りのことを正確に、素早くできる力が問われていました。だから詰め込み式の暗記で十分受験で高得点がとれました。
これからは違います。答えのない問いに対して自分の答えを出す力、それを人に伝える力、人と協働する力などそういったことが入試でも問われるようになります。
半年間で偏差値平均14UP
塾の力量をはかる上で欠かせないのが偏差値という指標。
一般的に一人あたり平均で3上げることができれば塾としては優秀。一人平均5も上がれば大したものだと、ある大手塾関係者から聞いたことがありますが、実際にこの「教えない塾」のやり方を通じて、一人当たり平均で偏差値14アップという脅威の結果を残すことができています。しかもたった半年という期間で、です。
これは十分すぎる結果と言えるのではないでしょうか。
なぜ教えない塾が学力を伸ばすのか
なぜこんなに伸びるのか?正直わたしも分かりません(笑)
しかし、一つだけ言えるとすれば「一人ひとりが自分の頭で考えるようになったから」でしょう。
逆に言えば、今までいかに自分の頭で考える習慣がなかったか、とも言いかえることができます。カリキュラムも先生が決めてくれて、宿題も何やればいいか指示してくれて、先生の考え抜かれた板書をそのままノートに写すだけ。なぜそれをやるのか、今日は何を学ぶためにそれをやるのか、他にもっと工夫の余地はないのかなど普通に授業を受けていると自分で考えるきっかけがありません。それでは伸びるはずもありません。
さいごに
これだけ社会が大きく変わってしまったにもかかわらず、なぜ塾はここまで遅れているのか。なぜ教育はここまで遅れているのか。
受験で結果を出すことや偏差値を上げることにどれだけの価値があるのかは分かりません。できることなら塾や予備校なんかにお金をかけずもっと他に有意義な時間とお金の使い方ができれば最高です。
しかし、主体的に、自立するためのきっかけがなかったり、今の成績のままで伸び悩んで笑顔が消えてしまう子たちがあまりにも多いと感じます。そんなことで自信を失ったり悩んでいるのはもったいない。
学校教育が大きく変わるのはまだまだ先の話になりそうですが、せめてこういった「教えない塾=自分で考えさせる塾」が一つでも多く増えること、そして多くの子どもたちの笑顔が増えることを願ってやみません。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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