はじめに
コーチングのスキルを教育に生かすために、「GROWモデル」を用いて、コーチングのステップを4つに分けてお伝えしています。前回のブログでは、ファーストステップとして、「目標設定」についてお伝えしました。
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今回はこちらの第二弾となるステップ②現状の把握についてのご紹介です。
まずは簡単に「GROWモデル」について復習しておきましょう。
GROWモデルとは(復習)

コーチングの典型的な進め方の一つにGROWモデルがあります。
コーチングの研究者よって多少の違いはありますが、基本的な構成は以下の通りです。
ステップ1:「目標の明確化(Goals)」何を目指すのかはっきりさせる
ステップ2:「現状の把握(Reality)」本当の問題は何か見極める
ステップ3:「資源の発見(Resource)」解決に利用できそうなものを探す
ステップ4:「選択肢の創造(Options)」別の方法がないか探す
ステップ5「意思の確認、計画の策定」(Will)実現に向けてのやる気を確認する
本記事ではステップ②「現状の把握(Reality)」についてお伝えします。
ステップ②「現状の把握」本当の問題は何かを見極める
ステップ①でゴールの確認ができれば次のステップは現状の把握です。
目的地がわかっても現状の位置がわかっていなければ、どういったアクションをとれば目標達成できるのかが決められません。理想と現実がわかればそのギャップ(問題点)が見えてきます。それが分かればあとはそのギャップを埋めるためのアクションを実行すれば解決できるはずです。

現状の把握とは?
現状の把握とは、現状のスキル、資産、人脈など今の状況を把握することです。
例えば大学受験に挑む生徒を例にすると、目標が「関西大学社会学部への合格」そのために来月までに英国社の偏差値を60に上げることだとすると、現状の把握をするには何が把握できればいいでしょうか?
わかりやすいのは現在の学力レベル、つまり偏差値でしょう。
あと期間はどれくらいで、今の実力はどれくらいか。また、やる気はどれくらいで、勉強時間はどれくらい確保できるか、協力してくれる人(塾や学校の先生、同級生)や勉強に集中できる場所はあるかどうか、必要なテキストは持っているかなども大切な要素になります。
このようにヒアリングを重ねると、じゃあ具体的にどんなアクションをとるべきなのかが考えられるようになります。
本当の問題は何か?
受験生においてよくある例として
「忙しくて勉強時間が確保できません」
といった言葉があります。
確かに、学校の授業や部活、学校行事にアルバイトなど、忙しいという気持ちも分かります。しかし、目標や目的を確認し、現状を把握していると
「本当にそれって必要?」ということが見つかったり、
「そこにそんなに時間かける必要あるかな?」ということが見えてくる場合があります。
また、逆に”勉強不足”が問題だと本人は思っていたけど、ちゃんと確認してみると毎日3時間勉強しているのに成績はずっと低迷しているということが分かった場合、もしかすると問題のレベルが合っていないとか、机に座っているだけでスマホを触っている時間が長いという他の理由が見つかるかもしれません。
問いかけることで相手が考え始める
教育の世界では先生はつい自分の経験から生徒の目標や現状、対策について「こうした方がいいよ」「これはやっちゃダメだよ」と口出ししたくなります。しかし、蓋を開けてみれば「結局やってない」、「あれだけやりなさいと言ったのにできてない」といったことが起きてしまいます。なぜでしょう?
最大の原因は生徒が自分の頭で考えて自分で決めたことではなく、先生に押し付けられて決められてしまっているからではないでしょうか?
では、生徒が自分の頭で考えて自分の意志をもって学び始めるためにはどうすればいいでしょうか?
例えばこんな質問があります。
「何か困っていることある?」
「目標達成までに今どれくらい到達できてるかな?」
これらは現状を認識するために有効な質問です。最初はうまく答えられなくても徐々に自分で考えられるようになってきます。
また、ホワイトボード等があれば文字や図にして相手の言葉を整理し、視覚的に伝えることも非常に有効です。本当の問題が何か自分で気づいたり、自分で言ったことの矛盾に気付けたりします。
まとめ
コーチングのスキルを教育で生かすためにコーチングのステップを「GROWモデル」を使ってご説明しました。本記事ではステップ2の「現状の把握」についてご説明させていただきましたがいかがでしたでしょうか。
コーチングが初めての方も学び始めたけどなかなかうまくいかないという方も何か参考になれば幸いです。
次回はステップ③「資源の発見(Resource)」解決に利用できそうなものを探すについてご説明します。