はじめに
コーチングのスキルを教育に生かすために、「GROWモデル」を用いて、コーチングのステップを4つに分けてお伝えしています。以前のブログでは、ファーストステップとして、「目標設定」についてお伝えしました。
↓↓
今回はこちらの第3弾となるステップ③資源の発見についてのご紹介です。
まずは簡単に「GROWモデル」について復習しておきましょう。
GROWモデルとは(復習)

コーチングの典型的な進め方の一つにGROWモデルがあります。
コーチングの研究者よって多少の違いはありますが、基本的な構成は以下の通りです。
ステップ1:「目標の明確化(Goals)」何を目指すのかはっきりさせる
ステップ2:「現状の把握(Reality)」本当の問題は何か見極める
ステップ3:「資源の発見(Resource)」解決に利用できそうなものを探す
ステップ4:「選択肢の創造(Options)」別の方法がないか探す
ステップ5「意思の確認、計画の策定」(Will)実現に向けてのやる気を確認する
本記事ではステップ③「資源の発見(Resource)」についてお伝えします。
ステップ③「解決に利用できそうなものを探す」
ここまでのステップで目標を明確に定め、現状を把握しました。
目的地と現在地がわかった状態です。
この次のステップは「資源の発見」です。
資源とは
ここでいう資源とは、「目標達成のために必要なことやもの」を指します。
具体的には人、物、情報、時間などが挙げられます。
例えば受験生を例にとると、来月の模試で偏差値60を取りたい、けど今は偏差値50しかないという場合、資源にあたるものはどんな物が考えられるでしょうか?
・教材やペンなどの勉強道具
・集中して取り組める場所
・勉強のアドバイスをしてくれる先生
・同じ目標を持つ仲間
・同じような経験をした先輩の成功体験
・勉強時間の確保
・自分にあった勉強方法
・経済的なサポートをしてくれる親
・健康で集中力が増すための食生活
・息抜きのための趣味
・自分の理解度が測れるテスト
これらは全て重要な資源といえます。
最も重要な資源は何かを考える
目標と現状にはギャップがあります。そのギャップを埋めるために必要なものが資源です。そしてその資源の中にもきっと優先順位があるはずです。
その人にとって何が重要な資源なのかはその人によります。
先ほどの受験生の例であれば、シンプルに勉強時間なのか、それとも勉強の方法なのか、家や学校の自習室以外の集中できる環境なのか、それとも心の支えなのか。
何が重要か分からない場合は、一旦必要そうな資源を洗い出し、その中から最も重要なものを考えて優先順位を立てることが大切です。
資源の発見に有効な質問例
相手が目標を達成するために必要なものは一体何かを、相手自身に考えてもらうためにはどんな問いかけが有効でしょうか?
どのステップでも同じですが、大前提として目標と現状の認識をすり合わせておきましょう。実際にコーチングしていると、コーチ側は目標と現状を認識していても本人が目標を覚えていない、現状を客観的に認識していないということはよくあります。その認識をすり合わせたうえで、例えばこんな問いかけをしてみましょう。
「目標達成のために必要なものってどんなものがありそう?」
「思いつく限り挙げてみて」
「他にはありますか?」
「その中で一番重要そうなもの(or現実的なもの)はどれですか?」
「それはなぜですか?」
「どんな協力があると助かる?」
「どんな情報があるとさらによくなりそう?」
「周りに詳しい人はいないかな?」
「もし全く同じ目標とレベルの友だちがいたとして、その子に足りてないものはなんだと思う?」
このような問いかけをして相手が自分でも気づいていないような資源の発見につながればベストです。
なぜ本人に資源を考えてもらうのか
「あなたには足りていないのは◯◯です」ではなく、「何が必要と思うか?」と考えさせることで、本人に納得感をもって取り組んでもらうことができます。実際に教育の現場にいるとわかると思いますが、例えば「あなたは勉強時間が足りない!」と言われるよりも客観的に見て必要そうな資源として「勉強時間」を挙げた生徒の方が取り組む意欲が違うのではないでしょうか。
また、例えばグループ学習をしていて、ある班が行き詰まったり、人手が足りない時に、「他の班からどんな協力があったら助かる?」と質問を投げかけると、解決策の糸口が見つかるかもしれません。
このように子どもたち自身に資源を考えさせることは、課題の解決を任せていることの表れにもなります。
「自分は任されてるんだ」「これは自分のことなんだ」という意識をもつことで新たな気持ちで新しい取り組み方を学んでいくきっかけにもなります。
子どもたちが自分の力で課題を解決していくための問いかけをしていくこと。自分たちで自信をもって成果を創り出そうというイメージを持たせること。これがコーチングにおいて大切なことです。
まとめ
今回は「GROWモデル」を用いたコーチングの5つのステップのうちステップ3となる「資源の発見」についてお話しましたがいかがでしたでしょうか?
子どもたちが自分の力で達成できた!と自信をつけ、また同じような困難なことがきても自分の力で解決できるようになるためには、このステップは非常に重要です。
次回は、ステップ4:「選択肢の創造(Options)」別の方法がないか探すについてお話していきます。